世界中には約80種、日本近海にはその半数40種
そして小笠原には20~25種もの鯨類が分布あるいは回遊することが知られています。
小笠原ではドルフィンスイムやウォッチング、ホエールウォッチングを行っていますが、その代表となるのは下記4種です。
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体長 |
体重 | 見られる時期 | スイムorウォッチング |
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ミナミハンドウイルカ |
2.5m |
300kg | 通年 | 両方 |
ハシナガイルカ |
2m |
70kg | 通年 | ウォッチング |
ザトウクジラ | 11~15m | 35~50t |
12~5月 (目撃は11月後半から) |
ウォッチング |
マッコウクジラ | ♀12~14m ♂16~18m |
♀25t ♂50t |
外洋に生息している為、 海況が落ち着く時期のみ ウォッチング可能 |
ウォッチング |
小笠原ホエールウォッチング協会より
- 小笠原で見られるイルカ・クジラ HP:http://www.owa1989.com/watching/reference
- ホエールウォッチング・ドルフィンスイム自主ルール HP:http://www.owa1989.com/watching/rule
クジラの種類
クジラの種類は〈ヒゲクジラ亜目〉と〈ハクジラ亜目〉に別れています。
ヒゲクジラ類は歯を持たず、上あごからはえた「ひげ板」「鯨鬚(くじらひげ)」を使ってエサを捕らえます。
鼻の穴は2つ。ハクジラ類よりも一段階低い栄養段階の生物を餌としてきたため、大型化したものが多いハクジラ類は歯を持っています。
外鼻孔は1個、少し中で2つに分かれている。
クジラとイルカの違いは?
おおまかに分けてしまえば
- 大きさが3メートル以下のものがイルカ
- 大きさが3メートル以上のものがクジラ
しかし国によって違ったりするので大体の目やすで見ておけば良いみたいです。
ミナミハンドウイルカ
[学名]Tursiops aduncus |
名前の由来
インディアンオーシャンは「インド洋」の意味。ボトルノーズドルフィンは、初めてバンドウイルカを見た外国人がイルカの口を鼻と勘違いしボトルの様な鼻をしているイルカに見えてたことに由来10頭~20頭ほどの群れでいる事が多いですが、1頭の時もあれば100頭以上の大きな群れになる事もあります。小笠原では個体識別を行っていて、今までに識別されているイルカは265個体、2016年は83個体(小笠原ホエールウォッチング協会より)とされています。体の色は、ほぼ全身グレー。成長していくと、お腹にマダラ模様が現れます。
水族館などで見られるハンドウイルカよりも小柄で吻(くちばしの様に見える部分)が細長いそうです。
ドルフィンスイムの対象とされているイルカで、この子達と会いたくて小笠原に来る方も多いはず。
「一緒に泳げますか?」
「必ず見られますか?」
良く質問されますが、野生に住んでいるものなので100%はありません。
30分以上遊んでくれるイルカもいれば、素通り、船の音を聞いただけで逃げてしまうイルカもいます。
イルカの気分次第ですね。
よりドルフィンスイムを楽しむ為に!
まずは泳ぐ練習をしましょう。少し潜るだけで興味を持って近づいてくれるイルカも多く、楽しめます。空き時間は可能な限り探して行きますが、当日の海況や天候・スケジュール等もかなり左右します。ドルフィンスイムをされたい方、スタッフと一緒にイルカ達を探してみて下さい。
船が出港したらスタートです。
湾の中にも入って来ますし、沖にもいます。見つけるにはイルカのヒレを探す、これが一番です。
イルカは魚とは違い肺で呼吸をしなければ行けないので、息継ぎに必ず水面に現れます。このタイミングを狙いましょう。
5月から9月に遠征する事が多いケータ列島の嫁島
それほど大きくない島なので、1週回ればどこかでほとんどの場合どこかでイルカ達に出会えます。
イルカ達もグルグルっと島を回っている事が多く、ダイビング中に遭遇する事も多いんです。
クローズの期間が長い嫁島は、イルカ達もかなり人や船に興味を持ち、よく遊んでくれる事が多いです。
とても人気な島なので、是非狙ってみて下さい。
ハシナガイルカ
[学名] Stenella longirostris |
名前の由来
和名のハシナガイルカは長いくちばしを意味します。英名のスピナードルフィンは回転イルカで、ジャンプする際にしばしばスピンする事に由来しています。
50頭~数百の群れで見られる事が多く
アクティブでスマートな体系のイルカです。
色は濃いグレ 薄いグレー 白の3色
夜行性と言われ、日中は浅瀬(入り江)で休息をとりながら穏やかに泳いでいます。夕暮れから休息していた安全な入り江から外洋へエサを求め移動、この時にジャンプしたりより速く泳いだり活動が活発になります。
子供は1m以下、お母さんと寄り添って泳ぐ姿はかなりキュート。それでも立派なジャンプを見せてくれたりもします。
ハワイなどではドルフィンスイムの対象となっていますが、いくつかの亜種に別れていて、小笠原で見られるハシナガイルカ達は一緒に泳ぐことは難しいです。いざ水中へ入ってみても、ササーっと素通り(かなり速い)ほぼ遊んでくれる事は無いでしょう。
船の船首波に乗ったり、引き波でサーフィンしてみたり、ジャンプを披露してくれたり。
後は休息中なのでのーんびり泳いで、息継ぎをします。皆一緒のタイミングで息継ぎをする事が多いので、水面に上がってくるときにはあっちにもこっちにもイルカ、水面に出ている2~3倍の群れがいます。
きっと船の様に速く泳げれば…水中でも遊んでくれるはずです(笑)。
ザトウクジラ
[学名] Megapteranovaeangliae |
名前の由来
学名 Megapteronは「大きな翼」と言う意味で、体全体の3分の1ほどにもなり、約5m。和名の座頭鯨は色々な説がありますが、丸みを帯びた体が、昔「座頭(目が見えない人)」を弾く人が持っていた琵琶(びわ)に似ている為だといわれています。また、海岸近くに来た時に、水面から出た体が大きな頭だけを外に出して座っているように見える事から「座頭」との名前が付いた。とも言われます。
英名HumpbackWhaleは猫背の意味 潜水するときに背中を大きく曲げる為、そのしぐさを表した名前。と言われます。
ザトウクジラの特徴
ザトウクジラの特徴はなんと言っても、長い胸ビレだと思います。夏の間は北の海(アラスカ、アリューシャン列島、ベーリング海峡)で沢山のエサを食べ栄養を蓄えたら、いよいよ長旅の始まり。
片道数千kmの旅とし、冬 小笠原へとやってきます。
目撃され始めは11月後半ですが、ホエールウォッチングとして楽しめるのは12月後半位からです。
小笠原には交尾・出産・子育ての為にやって来ます。
1988年から調査を行っていて、これまでに1000頭以上のクジラがナンバーリングされています。尾ビレの裏側の模様で個体識別が出来ます。
毎年400頭ほどのザトウクジラが確認されている様です。
嗅覚はほとんど退化しているといわれ、水圧に耐えるために目は非常に小さく、全体的に黒っぽい色をしています
哺乳類では珍しく、メスの方がオスより大きくなり、記録上もっとも大きいのは19m報告されている最高年齢は77才。(平均寿命は50年)
クジラは平均すると1年おきに1頭の子供を産み、妊娠期間は11ヶ月~12か月。産まれてくるときには既に体調4.6m 重さ1.3t、6ヶ月~10ヶ月母乳で育ち、7.5~9mに成長、子育てはメスの仕事で、オスは全く子育てを行う事はありません。そして成熟までには2~5年、その時には12mまで大きくなるそうです。以上の事から、小笠原で交尾をして妊娠、そのまま妊婦クジラが北の海に帰りまた小笠原に戻り出産、小笠原などの南の海では食事をする事はほぼ無いと言われているので、食事無で子育て
そして、北の海に連れて帰りご飯を食べ、再び小笠原...子離れをしたら、再び交尾。と言う感じです。
一夫多妻かつ、一婦多夫型。
発情期のメスには数多くのオスが求愛行動を行います。
獲得争い、テリトリー争いが激しく 1頭のメスを数頭のオスが追いかける。ブローもあらくアクティブな行動をとります。これをメイティングと呼びます。
繁殖期のザトウクジラはよく「歌 ソング」を歌う事が知られています。
歌うのは繁殖期に単独で行動しているオスのみで「シンガー」と呼んでいます。
いくつかのフレーズで構成され、歌われるフレーズの順番は決まっています。繁殖シーズンが深まると歌は少しずつ変化をみせます。同じ海域の雄クジラは同じ歌を歌うことが知られています。
ホエールウォッチングをしていると、親子クジラの後ろにもう1頭くっついている事が良く見られます。
「お父さんだ~」では無く、次の交尾を狙う成熟したオスクジラで「エスコート」と呼ばれています。
個体数の減少から、1966年商業捕鯨が禁止されているクジラです。
ホエールウォッチングで良く耳にする言葉
ブロー
ブロウ(Blow)はいわゆる潮吹き。呼吸をするときに、頭上から水しぶきを上げる行動の事です。
海上に上がってきたクジラを探す時の目印としてよく使われます。
フルークアップ・ダウン
クジラは息継ぎを終え深く潜るときに、尾ひれをまっすぐ水面に持ち上げてから潜水します。
腹側の模様を見せる場合はフルークアップ(Fluke Up)、見せない場合はフルークダウン(Fluke Down)と呼ばれています。
ペックスラップ 胸ビレで水面を打つ
テールスラップ 尾ビレで水面を打つ
ヘッドスラップ 頭で水面を打つ
スパイホップ 水中から頭を出し、水上の様子を見る
ブリーチング 体を水面上にジャンプ
以上の行動はどうしてするかは判っていませんが、寄生虫を落としたり子供をシャチから守ること、コミュニケーションの手段、単に楽しんでいるなど 色々な説があります。
マッコウクジラ
[分類] 哺乳類クジラ目マッコウクジラ科 |
名前の由来
和名「抹香鯨」抹香(のような龍涎香 りゅうぜんこう を体内に持つ)クジラ。英名「Sperm Whale」マッコウクジラの四角い頭の中には沢山の脳油(鯨蝋げいろう)が詰まっています。
脳油は精液に似ている為、誤解されたのが名前の由来と言われます。
大きな四角い頭が特徴
鼻の穴は頭の先左側に1つ、ブローは左前方斜めに上がります。世界中の外洋に生息しているクジラです。捕鯨が盛んだった時代、脳油を使った油製品が作られました。あまりに取り過ぎて数が減り、現在は世界的に捕鯨が禁止となっています(一部除く)。
ハクジラの中では最も大きいクジラで、オスメスでかなり大きさに違いがあります。
オスは16~18m(成長すると20mを超すことも)50t、メスは12~14m 25t、そして低緯度の暖かい海にはメスと子供の育児集団がいます。
一方、オスは大きくなると高緯度へと移動して行きます。若いオス集団へ、さらに成体になると単独行動をし極近くの冷たい海を回遊、オスの繁殖適齢期は10~20才ごろ、この時期になると暖かい海へ戻り育児集団を訪れて繁殖行動をし、また寒い海へと戻って行きます。
40才を超えても成長し、寿命は70才以上。
生涯の3分の2を深海で過ごすと言われ、軽く2000mは潜ることが出来、集団で狩りをすると言われているそうです。
主食は「イカ」。小笠原近海には育児集団が見られます。8~10mほどのマッコウクジラが多く4~5mの小さなマッコウもいます。
メスは4~6年で成熟し妊娠期間は12~18カ月、子育ては2~3年、出産は5年に1度。
オスは1頭で複数のメスを獲得するハーレムにより子孫を残す性質で、複数のメスと交尾した後は、北の海へ戻り子育てには参加しません。
メスと子供は暖かい海で過ごしメス通しで協力して子育てを行っています。家族の絆が強く、深海へと潜ろうとしない子には母乳を飲ませながら潜ったりもするようです。
1,000mの海域で過ごしている為島から遠く、会いに行くには少し時間がかかります(1時間強)。その為、海況が良い時で無いとウォッチングに行けません。
見つけ方
見つけ方はブローやブリーチングを探します。また、マッコウクジラが出しているカチカチなどのクリック音(音響信号)を水中マイクを使って探します。
まだ潜れない子クジラが浮いている姿も見られたりします。
大きいクジラですが、丸太んぼが浮いていて、たまにブローが上がるわりとのんびりなイメージです。
たまに見かけるオスは大きく、こちらは迫力があります